
世界文化遺産にも選ばれた霊峰、富士の山。ここ数年国内だけでなく外国からの観光客もとても増えました。
河口湖には富士山以外にも見どころはたくさん。中でも1度は見てもらいたいのが河口湖浅間神社の稚児の舞(ちごのまい)。
富士の麓ならではの究極の富士山信仰。見ている分にはとても厳かな中にも一生懸命なお稚児が可愛い。
でもこの稚児の舞、規律がとても厳しい。娘がお稚児さんを経験した上でその大変さを知りました。
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そもそも稚児の舞とは
浅間神社の神殿で4月25回に例大祭、7月28日に太々御神楽祭が行われます。
富士の神様の怒りを鎮めるため毎年2回お稚児さんが舞を奉納する伝統的なお祭り。子供が演じる舞踊ですね。
この稚児の舞、1960年に無形民俗文化財に指定されるほどの貴重な民俗芸能。
富士の神様とは木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)。富士山を神格化して祀っているというわけです。
緋色のはかまに艶やかな陣羽織を着た稚児が右手に鈴、左手に採物を持ってお囃子にのせて舞を舞う。すり足で舞う姿はとても優雅でまた可愛らしいもの。
採物とは扇、つるぎ、御幣の3種類。それぞれの採物に合わせた舞は見応え十分。
お稚児さんはお祭りの主役であり顔
出典:富士河口湖総合観光情報
お稚児さんですが、誰でも出来るわけではありません。
両親健在が絶対条件で代々神社の氏子の家庭の8歳から12歳の女子限定。
そして言い方は悪いけれど、よそから越して来た家庭の子供では出来ないしきたりです。
この条件を満たす8歳の子が毎年1、2人選ばれます。12歳までとはいえ、いきなり10歳の子が入れるわけではなく8歳からしっかり始めて12歳で卒業。
顔を白く塗って赤い口紅をして金色のようらくを頭に載せる。全体的に緋色の衣装に着物の帯から作る派手な陣羽織。遠目でもすぐお稚児さんとわかるほど目立つ出で立ちです。
口紅も赤ければ赤いほどいいとされる。なのでお母さん達はどこの化粧品メーカーがより赤いか情報交換の日々。
舞を奉納した後のお稚児さんは、1列に並んで町を練り歩き。その姿はかなり圧巻。
お稚児さん目当てにカメラ片手に来る観光客の方はとても多い。それくらいお稚児さんはお祭りの主役であり顔なんです。
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規律が厳しいお稚児さんの世界
稚児が決まったらすぐいただく「お稚児ハウツー本」。しかも手書きの古そうな冊子。ここからすでに伝統の重みがずっしりと。
連日、舞の基礎からの練習に通し稽古。そして前の日は生ものは食べてはいけないとのこと。
さらに、当日は1番風呂に入って身を清めなければいけないし、下着も新品でなければなりません。
出がけには火打ち石で切り火をしてご先祖様に挨拶するため祖父母の家へ。そして浅間神社に向かいます。
朝から1時間以上かけて衣装を着た時点でもう母子共にクタクタ。
しかもお稚児はお祭りの最中はトイレ厳禁。朝起きた時に白湯をほんの少し飲んだ程度。
お腹も空いているようで見ているこちらもツライ。何もわからない1年目は本当に大変でした。
本番中、自分が舞う時以外はずっと正座。大人でもキツイのにお稚児さん達はよく頑張っていると感心するばかり。
娘は卒業して8年ですが、当時は空腹より何より正座が1番ツラかったといまだに言うくらいです。
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まとめ
華やかで艶やかでたくさんの人の目を楽しませてくれるお稚児さん。実は本番を迎えるまでに、こんなに地道な努力をしているんです。
どの世界にも言えることですが表舞台が派手なほど裏は大変なもの。…と、ごたいそうに言えない、私。
衣装を裏表逆に着せてしまったり代替えの足袋を忘れて先輩のお母さんに借りたり。
かなりタブーなことをやらかして毎回冷や汗。それも思い出だと自分勝手に解釈しては娘に怒られるという。
今の便利な世の中と真逆なところにある伝統芸能。こんな時代だからこそ重きを置いて大切に守っていきたい文化。
河口湖に遊びに来る予定がある方、ぜひお祭りに日を合わせてみてはいかがでしょう。
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